Co RINPA 山口哲司×中川学イラストレーション展



友人でボローニャ作家の山口哲司さんと、久しぶりに二人展します。
タイトルは『コリンパ』。
「小ちゃい琳派」なのか「こまっしゃくれた琳派」なのか
はたまた「クールな琳派」なのか。
画材も作風もちがうけど、和をテーマに作品を作ってきた僕たちが、
琳派にリスペクトを捧げつつ、遊んでみようと思ってます。

プリント/今泉版画工房
表装ディレクション/天勇
表具コーディネート/藤谷美緒
チラシデザイン/泉屋宏樹

CoRINPA

関西発のイラストレーター、中川学と山口哲司による
ちょっと琳派なイラストレーション展。

片やデジタルでPOPなイラストを追求する中川と、
片や布に手描きされた優しい花鳥風月を描き出す山口。
全く違った手法でいながら、和をテーマに作品を制作している両者による、
イラストレーション的解釈の琳派展、名付けて『コリンパ』です。
京都と大阪を巡回して、それぞれでしか見られない作品を展示。
大人から子どもまで楽しめる、現代の琳派をご覧にいれます。
琳派RIMPAで大騒ぎな2015年のおおとりは、
実はこの二人による小ちゃい琳派展なのかもね。

山口哲司HP

●京都の巻 
和モダンなギャラリーで、和モダンな生活に合う、
キュートな琳派的作品をプレゼンテーション。
ART SPACE 感
11/10(火)〜11/22(日) 16日休廊
13:00~19:00 ※最終日18:00まで
★記念イベント 11/14(土)15:30~16:30 
山口哲司×中川学ギャラリートーク 入場無料

●大阪の巻
屏風、衝立、違い棚をはじめ、
用の美を現代に追求した琳派的作品をしつらえます。
GALERIE CENTENNIAL
12/3(木)~12/11(金) 会期中無休
13:00~19:00 ※土、日、最終日、17:00まで
※3日はイベントのため18:00まで
★記念イベント 12/3(木)18:00~20:00
講談師 旭堂南陽による琳派講談会。
作家も交えてのトークなども行う予定です。
講談演目『すべては光悦村から始まった!』
料金¥1500-(ワンドリンク付き) ※定員25名
受付06-6943-5892 コリンパ講談の会まで

※中川学在廊日 
11/10(火)、12(木)、14(土)、15(日)、19(木)、21(土)
12/3(木)、5(土)、6(日)、8(火)、11(金)
  • 2015.10.22 Thursday
  • -
  • 22:08

でたとこラヂオ「杉本恭子さんとの対話」


久しぶりのでたとこは、ライターの杉本恭子さん登場。
杉本恭子さんは、何度か取材していただいていております。
彼岸寺 坊主めくり
龍潭譚 インタビュー
彼岸時 お坊さんといっしょ。
今回、逆の立場になりまして、
いろんなこと聞きたかったけど、結局仏教トーク^_^

でたとこラヂオは、コチラ。
 
  • 2015.10.22 Thursday
  • -
  • 21:14

金沢と朱日記

昨日UPした「朱日記と泉鏡花記念館」の記事について、
泉鏡花記念館の学芸員氏より、すかさず
『「朱日記」は”研究者に重要視されていない作品”ではなく
”一般的にあまり知られていない作品”と言った方が正確な表現と言えます。』
とのご指摘をいただきました。

すみません(_ _);;
いいかげんな文章表現でした。

朱日記には『”研究者に重要視されていない作品”ではなく』というご指摘通り、
立派な研究論文があります。
穴倉女史より以前教えていただいたものに
藤澤秀幸氏の「泉鏡花『朱日記』論序説ー<城下を焼きに参るのぢゃ>をめぐってー」という
有名な論文がありまして、朱日記の怪異部分について考察がなされております。
これがとっても面白い。

この論文中で藤澤氏は
「雑所先生が怪異に遭った魔所」と「クライマックスの火事」について
そのモチーフを金沢の歴史と伝説と地域の中に見つけていきます。
ちょっと推理モノのようで、ドキドキしながら読みました。
かいつまんで言うと、
「山の奥」は「黒壁山」で「旧道」は旧鶴来街道、
「魔所」は高尾から地黄煎までの窪、「物見の松」は地黄煎の今は無き見張りの松、
「大川」は犀川、など
詳細な考証の末に実際の場所と結びつけられています。
特にこの鶴来街道ラインにある「高尾の坊主火」伝説との関連の指摘を読むと、
そこにちがいない!と唸ってしまいます。
また火災についても鏡花の生家が焼けた明治の「味噌蔵町焼け」ではなく
江戸時代の「宝暦九年の金沢大火」であろうと指摘されていて、
そこにも古文献や鏡花のころに金沢で上演された芝居の演目などからの考察があって、
納得させられます。

でもね。
僕的にはやっぱり、卯辰山-一本松-浅野川あたりの、
つまりいつもの鏡花ワールド的聖地(であり魔所)がアヤシイように思ってしまうのです。
だって朱日記の学校のモデルは鏡花の通ってた小学校「養成小学校」だろうし
(主人公の美少年宮浜も雑所先生も鏡花自身だと思う)、
そこに通ってる雑所先生のお宅がある町内が丘の上から見えるんだから、
養成小近くの卯辰山くらいの距離感なんじゃないか。
卯辰山には「山王の社」もあるし、
その辺りから望んだ風景が、浅野川の向うにすぐ近くにお城が見えるという、
文中の表記に似てると思うんですよね。
それに、物語の中で妙に象徴的に燃え上がるのは、
お母さんの思い出につながる「一本松(五本松?)」のほうが、らしくないかな。
とまあ、これは全くなんの考証もなく、
いっぺん卯辰山に登ったばっかりの僕の直感のみなので、
なんの信憑性もない、たぶんいつものオモイコミなんですが。

確かに金沢で「魔所」と言えば鏡花自身も同名の小品に書いているように「黒壁」だし、
卯辰山じゃあ、あまりに近過ぎだし、そんな深い山でもない。
けれど、幼い頃になじんだ場所を膨らませて、
物語にしたてあげるのは空想家としてはよくあることのような気がするんですよね。
たぶん、「黒壁」も「地黄煎の今は無き見張りの松」も「いつもの卯辰山」も
「一本松」も「味噌蔵町焼け」も「宝暦の大火」も
若い頃に見聞きした風景や事物がすべてモトネタとなっているというのが
正解なんだろうなあ。
もともと、朱日記の舞台は北国の城下町で「金沢」とはどこにも書いてないので、
具体的な場所を探す事にあまり意味はないのかもしれませんが、
ついつい探したくなるのがファン心理というものなのですよ。
特に、「朱日記」の世界を絵にする際に、どっか風景にリアリティがほしかったので、
まずは「朱日記」を思い出すきっかけとなった、あの「一本松」を見に行きました。
すると思わぬ朱日記的風景を卯辰山に見つけることができた。
その感動が「朱日記」の絵には入ってると思います。

※卯辰山の五本松(一本松?)スケッチ

※卯辰山の山王社付近から城下を望んだスケッチ


とまあ、そんなこんなで描いた朱日記の原画、
卯辰山近くの鏡花の生家跡「泉鏡花記念館」で展示中。
僕の絵を見て「朱日記」創作の未だ見ぬ新事実に思いを馳せていただくのも、
一興ではないでしょうか。


「中川学画 朱日記」展 2015.8.10から約5週間開催予定。
※全原画を週替わりで展示いたします。
金沢泉鏡花記念館






 
  • 2015.08.12 Wednesday
  • -
  • 18:51

朱日記と泉鏡花記念館


現在、金沢泉鏡花記念館にて、朱日記 原画展をしていただいております。
国書刊行会より出版されました「朱日記」の原画47枚を毎週週替わりで5週間展示予定。

さて、この「朱日記」、泉鏡花記念館があってはじめて生まれた作品だと言えます。
僕が最初に「朱日記」を絵本化の俎板の上に乗せたのは、
実は「龍潭譚」を最初に絵本にしようと考えた2008年のことでした。
東京初個展を前に鏡花モノを絵にしたいなと思って、龍潭譚を思い出したのですが、
その際、「化鳥」と「朱日記」も候補にあげておりました。
絵本(というより繪草子)にするのにほどよい長さで、
かつ描きたいシーンがあるかどうかで選んだ三作でしたが、
「化鳥」は絵に落とし込むと台無しな話だと思ったし、
「龍潭譚」の「高野聖」的な色気と妖しのシーンの前に、
「朱日記」はあっけなく脱落してしまったのでした。
でも、なぜか魅かれる作品で、赤い猿を操り城下町を焼き尽くす魔人や
意味不明だが気風のいい台詞を言う赤いグミのお姐さん、
いっちゃってる美少年に、生真面目なのに怪異を目の当たりにしてしまう教頭先生など、
頭の隅にずっと残っていたようなのです。
「龍潭譚」を描きあげた時点ですっぱり忘れて、実際タイトルも憶えてなかった程なんですが、
それを思い出させてくれたのが、泉鏡花記念館だったのです(またもや!)。

2013年の金沢市の泉鏡花フェスティバルを見に行ったときのこと。
僕は「絵本化鳥」を完成させた直後で、
「繪草子龍潭譚」の原画展もしていただけるということもあり、
燃え尽きてからっぽな気持ちで会場をぶらぶら見ておりました。
すると一角にパネルのコーナーが設けてありました。
泉鏡花記念館の学芸員穴倉女史による
金沢と泉鏡花の歴史の紹介のコーナーだったと思います。
なんの気はなしに読みすすんでいくと、
「鏡花の母と一本松の焼失について」の記事が目にとまりました。
そこで、はっと「朱日記」のことを思い出しました。
そうか、「あの話」の中の魔人によって一瞬燃え上がる松の木は、この「一本松」なのか!
なぜか急に「あの話」がリアリティを持って立ち上がり始めました。
鏡花ー母ー美しい姐さんー松ー魔人などが何かの意味があるように思えて来て、
「あの話」描きたい!という気持ちがわき上がってきたのです。
「あの話」とは「朱日記」なのですが、
そのときはそのタイトルを思いだせず、パネルを見てすぐ、穴倉女史に
「次に絵本化するなら、あの魔人が金沢の街を燃やす話が描きたい」と言うと、
怪訝な顔で「??朱日記ですか?」と答えてくれたものです。
怪訝な顔もそのはず、「朱日記」は
研究者の方からはそんなに重要視されていない作品だったわけです。
なのですが、この穴倉女史のパネルを読まなければ、
「朱日記」はそのタイトルすら忘れていたままに違いありません。

その後「絵本化鳥」が意外に好評だったので、
国書刊行会さんから、もう一冊鏡花本を描いてもいいよ。と言ってもらえて、
紆余曲折の末、「朱日記」でいこう、ということになりました。
が、実際描こうとしてもなかなか進まず、
ぐずぐずしている僕にまたもや手を差し伸べてくれたのは穴倉女史でした。
「全国文学館協議会共同企画『天災地変と文学』というテーマで
一枚絵を描いてみませんか?(朱日記で)」
穴倉女史はさっそく明治時代の学校や生徒の写真など資料を送ってくれました。
ここではじめて僕は「朱日記」を具体的に描く最初の試みをはじめることができたのです。

「朱日記」―災厄のきざし 2014.3

このときにいただいた資料が後に絵本「朱日記」を制作する上でとても
役に立った事は言うまでもありません。
その後も穴倉女子には様々な助言や励ましをいただき、
完成へと漕ぎ着けることができたのです。
ことほどさように、泉鏡花記念館と学芸員氏がいなければ、
「朱日記」は完成しなかった作品です。
「朱日記」は泉鏡花記念館から産まれました。
「朱日記」を母の体内で味わう展覧会、開催中です。

「中川学画 朱日記」展 2015.8.10から約5週間開催予定。
※全原画を週替わりで展示いたします。
金沢泉鏡花記念館

※ちなみに、「原画」と言っておりますが僕の場合illustratorのデータで作成しておりますので
本来「原画」というものが存在しません。
が、僕はこれは大事と思われる絵に関してはプリントして残すことにしておりまして
信頼できる刷師さんの元でプリントしてもらったものを「原画」として保存しています。
データなんて、いつなんどき、一瞬にして消え去るかわからない儚いものですから。
刷師さんはおなじみ、関西の伝説のプリンター今泉浄治氏。
なので今回の展示もピグメントプリント(版画)の展示となりますので、あしからず。
でも、その美しさは手描きにも負けておりませんので、一見も二見も、五見の価値もアリです。
今回出版された「本」も、装幀家の山田英春氏によるアートディレクションで
とても美しい刷り上がりとなっておりますが、
「原画」は「本」とは違った浮世絵のような美しさを味わっていただけると思います。













 
  • 2015.08.11 Tuesday
  • -
  • 20:13

でたとこラヂオ/朱日記スペシャル

ミュージシャンの山口智さんとの
ネットラジオ「でたとこラヂオ」にて、
アニメ朱日記のスペシャル番組を収録しました。
題して『緊急特番 アニメ朱日記はこうして生まれた!』。
アニメ制作担当の青木香さんをゲストにお招きして、
作画担当の中川と、音楽担当の山口智さんの三人で、
アニメ朱日記の誕生秘話が、ざっくばらんに語られます。
途中、「龍潭譚」「絵本化鳥」の装幀家泉屋宏樹氏も参加。
朱日記をクリエイティブな側面から楽しめる番組です。

でたとこラヂオ

そして朱日記サイン会のお知らせ。
5/913:30~15:00 @泉鏡花記念館
『朱日記』サイン会 出演/中川学(イラストレーター)
泉鏡花原作の新作『文藝繪草紙 朱日記』の挿絵画家によるサイン会。
ご希望の方は、国書刊行会版『朱日記』をお買い上げ、もしくはご持参ください。※泉鏡花記念館でも購入可能。

泉鏡花記念館
 
  • 2015.05.06 Wednesday
  • -
  • 10:41